家具のこと・お店のこと

2024.11.05

「2024年度グッドデザイン賞」受賞までの道のり

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2024年11月2日～5日まで東京ミッドタウンにて、2024年度のグッドデザイン賞を受賞した作品が一堂に見れるイベントが開催されました。

この度受賞したオリジナルテーブル「bon_table」も展示していました。

 

デザインをしてくださった、長野県須坂市のhut建築事務所の田中さんも見に行ってくれました。

この田中さんの自邸の建築（2023年秋竣工）に合わせて、様々な家具の企画、デザイン、製作が始まりました。

田中さんから出てくるアイデアやデザインは本当にクオリティの高いもので、驚きました。

建築士ではなく家具デザイナーなのでは？？？？

 

そして、私の仕事は各商品のスケッチやデザインからお取引のあるメーカーさんや、家具職人さんの中から適材適所に作り手さんへ試作の依頼をしていきます。

どの商品も完成形に近いものなので、すぐに商品化（オリジナルとして販売）となっていきます。

 

このbon_tableの製作は迷わず北海道の匠工芸さんに決めました。

 

繊細なデザインなので、強度をいかに保つか、そしてシンプルなデザインの意図を余すことなく、読み取れる力のあるところでないと出来ないと思いました。

 

料理で言うとレシピは一緒でも作る人で味が変わるという話を聞いたことがあります。

家具も同じです。

 

取引歴は30年以上あり、匠工芸さんの作る製品はどれも魅力的で、当店のオリジナルのラウンドテーブルはこの匠工芸さんで製作しています。

 

普段から家具や建築のデザイナーさんと協業しながらの商品開発をずっと見ていたのでここでなら出来ると。

 

そして、規模や金額の大きい小さいではなく、依頼内容を一つ一つ丁寧に検討してくれました。

 

試作が出来てデザイン、クオリティ、完成度において群を抜いておりました。

製作に携わった営業担当の新倉さん、そして工場の方々には本当に感謝しております。

 

早速、縁あって東京の世田谷の温泉旅館　由縁  別邸代田様に採用していただきました。

 

私のお店だけでなく、同業の家具屋（長野県松本市+VITA）さんにも採用していただくことになりました。

 

また、田中さんも自身が手掛ける温泉旅館（長野県上田市 信州別所温泉 かしわや本店様）のリノベーションの際も採用していただきました。

 

こうして、デザイン、クオリティ、完成度に加え実績も出来ましたので、田中さんと相談しグッドデザイン賞にチャレンジしてみようと。

 

2024年度の応募受付は4月1日～5月27日

エントリーサイトからの応募になります。

一次審査はいわゆる書類審査となります。

応募前は正直、半信半疑。

田中さんが考える、デザインの背景や経緯、そしてデザインのポイントをお聞きし、そしてそれをまとめた文章が送られて来て、過去のグッドデザイン賞の受賞作品を参照し、この内容で応募してダメなら悔いは無し。

 

6月6日～7月1日：一次審査期間

審査情報は概要やデザインのポイント等を入力していきます。また画像だけでなく、動画も提出しました。

 

7月2日：一次審査結果通知　

エントリーサイトにて、一次審査通過の通知がありました。

 

 

7月10日～8月22日：二次審査期間

8月7日～8月9日：二次審査会（会場：幕張メッセ）

エントリーサイトの情報と現物を照合しながら確認をする現品審査となります。この、二次審査会は搬入・搬出がありましたので、せっかく関東へ行くならと、bon_tableのご購入第一号である東京世田谷の由縁 別邸代田さんへ訪問してきました。

デザイナーの田中さん、藤沢さんと実際使っていただいている様子を共有できたのが、とても感慨深い時間で、宿泊もしてきました。

写真左：本人

写真左から二人目：hut建築事務所　田中さん

写真左から三人目：山上さやか建築設計事務所　山上さん

写真左から四人目：hut建築事務所　藤沢さん

 

これまでは年上の年の離れた方とのお仕事が多かったのですが、自分の歳に近い方とのお仕事が増えて、価値観であったり感性であったり、そういったものを共感できる方に出会えたのが何よりうれしい。

 

私にとって、二次審査会の現品審査はデザイナーさんたちとの絆を深めた期間でもありました。

 

二次審査会後には根拠は無いが、受賞する気がするとお伝えしていました。

なんでしょうか、やり切った感があったと言いますか。。。不思議な感覚です。

 

 

8月23日：二次審査結果通知

緊張感のある発表当日でした。

エントリーサイトで個別での発表となります。

二次審査通過対象は、その時点では「受賞内定」の段階であり、10月16日(水)の受賞発表をもって「2024年度グッドデザイン賞受賞」の運びとなります。

それでも、デザイナーさん、メーカーさんで喜びを分かちあいました。

 

10月16日：2024年度グッドデザイン賞の受賞発表

5,773件の審査対象のうち1,579件の受賞が決定。

そして、「bon_table」が正式受賞（受賞番号 24G100748）となりました！

審査委員の評価

「お盆」から着想を得たシンプルなコーヒーテーブルである。取り外し可能なお盆型の天板や、折り畳み可能な脚部の機構が、住空間での使用用途を広げ、暮らしの中での有用性を高めている。さまざまなシーンでの活用が想像できるシンプルなデザインは、サイズや素材の選定も秀逸であり、木部と真鍮パーツの組み合わせにも違和感がない。丁寧に作り込まれたディテールや、折り畳みの機構が感じられない工夫も、高く評価できるポイントである。

 

 

この歴史ある賞に名を残せたのは、本当にうれしく、2005年から家具・インテリア業界に身を置いておりますが、まさか自分がこの賞を受賞できるとは夢にも思いませんでした。

 

 

ここ数年は家具業界だけでなく、建築業界の主に建築士さんとの出会いが増えました。

仕事をしていく中で、自分にとっても、お店にとっても大きな成長の原動力となりました。

この素晴らしい、ビジネスパートナーとの協業の一つがこの賞につながりました。

 

改めまして、hut建築事務所の田中圭さん、藤沢和哉さんありがとうございました。

 

今後もよき出会いに感謝し、自分の出来ることに精一杯尽力していこうと思います。